すみっこでボソボソ

・・・ん?

紙の梟

貫井徳郎さん著「紙の梟」読了。

 

・・・こわっ。

めっちゃ怖い小説でした。

 

某、巨大匿名掲示板の元管理人さんって、頭がいい、と言うか、自分がディベートで勝てる土俵を見つけるのがうまい。その物事の芯とは関係ない部分でベクトルを自分有利に捻じ曲げるのがうまい人と思うのだけど、彼自体が裏道とか抜け道とかグレーゾーンとか、倫理に反する事でも法律に違反と書かれていないなら良しでしょって人なんだと思う。だから頭いいなと思ってもぜんぜん好きになれない人なんだけども、まぁそれはどうでもいいや。

そのような人が始めたから、あの巨大掲示板はネットの良くない部分、匿名性の良くない部分が集まっていたと思う。一つ一つは力のない無責任な放言でも数は暴力になる。波になってうねりになる。物言わぬ方の意見はうねりに流されていく。

干し草の中から針を見つける事は難しいけど、針を落とさない人たちもたくさん居るんだよなあ。そこが干し草の山だと知っているから。

でも自分自身が針だと知っている人は干し草に紛れればいいとも知っているし。

 

 

レミングって大移動と集団自殺するネズミだよねって思ってた。でも集団自殺は誤解らしくて、その誤解のもとはディズニーのドキュメント映画でレミングが集団で崖から落ちるシーンや大量に溺れ死んだシーンがあったかららしいが、それって実は意図的に崖っぷちに追い込んで海に飛び込ませたのだそうだ。

 

・・・意図的に崖っぷちに追い込んで海に飛び込ませた。

レミングの群れ」の章、これを知ってて読むと知らないで読むのとでは怖さが違うと思う。

 

無責任で単純で素朴な感情や、風向きを見ることや、何も言わない事も。

人間ってやっぱり怖い。